現在、就職市場は空前の売り手市場と言われます。
2018年4月期の企業の求人倍率は約2.3倍。
特に販売や専門職といった「経験がものをいう」分野の人材不足が深刻で、求人数が伸びているというデータがあります。
ところが、いざ転職活動をしてみると
「すぐ決まると思った」
「こんなはずじゃなかった」
など、苦戦しているという悩みをよく聞きます。
40〜50代だけでなく、20代からもそんな声が聞こえてきます。
そこで、転職活動に苦戦する原因と対策法をお伝えします。
原因1 新卒意識が抜けない
転職活動を新卒の就活と同様に考えている方は、間違いなく転職に苦戦します。
言葉遣い、会話の端々に現れる仕事に対する意識、自立心。
これらの面を、転職先の人事担当者に「新卒と変わらない」と判断された場合、だったら新卒を採ろうと、採用が見送られます。
「第二新卒」という言葉が流行して久しいですが、20代前半の若者であっても状況は同じです。
例えば転職での面接では何をアピールするでしょうか。
「早く皆さんと仲良くできるよう頑張ります!」
「早く戦力になれるように努力します!」
などという話は、新卒の面接では清々しくて良いですが、転職なら採用されるのは難しいでしょう。
採用する側は、中途採用者にそんなことを求めていません。
早く戦力になるのは当たり前で、極論、利益さえ出せばいいと思っている企業もあるかも知れません。
そもそも、言うまでもなく自社の新卒社員の方が先を行っています。
大切なのは
「社会人として適切な知識と意識を持っていること」
「転職先の自分へのニーズを理解していること」
です。
端的に言うと自立していること。
ビジネスマナーは当然、転職者としては相手目線で自分を雇うメリットをアピールしましょう。
「前職は○○業界のお客様が多かったので、御社の○○に貢献できると考えます」とか。
若さと経験をうまくアピールしたいですね。
原因2 前職のキャリアアピールが下手
これまでの社会人生活で得たキャリアを上手くアピールできないと、転職に苦戦します。
20代であろうと、あなたは立派な社会人経験者です。
転職市場においては、その業界で10年以上のキャリアをもつベテランの転職希望者と対等な立場なのです。
「やっていたこと」
「できること」
をしっかり伝えましょう。
採用する側の企業の欲しい条件と、それが一致したときに採用が決まります。
例えば技術者業界なら、企業は中途採用者に対し明確に「○○の開発ができる人」「○○チームのマネジメント管理をしてくれる人」など、ニーズを持っています。
表向きは「技術者募集」としか言っていなくても、です。
採用可否は、これとマッチするかどうかだけですから、あなたは正確に事実を伝える必要があります。
営業の世界などではよくある話なのですが、営業担当個人が上客を握っており絶大の信頼をえている場合、顧客ごと転職する他社に持っていってしまう事例が多々あります。
企業の「仕事がほしい」というニーズと一致するわけです。
「なんでもやります!」はNGです。
何でもできると思っている時点で、何も強みがない人と判断されます。
また「やりたいこと」のアピールに終始することも御法度です。
やりたいことは大切ですが、採用する側に興味のあるのは、まず「あなたは明日から何をしてくれるの?」ということです。
これらの点を意識すると、状況は好転するでしょう。
原因3 転職に焦っている
転職に焦っている人ほどうまくいきません。
「転職活動に専念したいから一旦退職して」「辞めて強みになる資格を取得してから」こういった場合、想定外に転職活動が長引き収入が無くなって焦ります。
そして、焦るから尚、次が決まらない。
そんな負のループに陥るケースがあります。
元の会社が倒産したなどの不可抗力を除き「とりあえず辞めちゃいました」は、焦りに直結する要因のため、やめた方が良いです。
実際に転職の面談では、いま前職に就業中であることが前提です。
あるアンケート調査によれば、在職中に転職を思い立ち、すぐ(1ヶ月以内)に次が決まる人は2割程度という分析があります。
大多数は半年程度の活動期間を経て転職先を決めます。
そもそも転職には「タイミング」があり、転職に向いている時期があるのです。
年中満遍なく求人があるわけではありません。
この辺の現実が分かっていて、計画立てて行動がとれる人材。
こういった要素も、企業側が採りたい人材なのです。
まとめ
そもそも、転職時には根本的な選択肢として「転職を見送る」という選択肢も考慮すべきです。
もし「業務や労働条件」希望とマッチしないなら、まずは会社と話し合うことです。
それで改善されれば儲けものなのですから。
とはいえ、その結果、転職を決断することはもちろんあります。
その場合、自分が新卒とは違う中途採用者であり、「面接は雇用者と労働者の交渉の場である」と意識して臨みましょう。